溝江達英【公式】

誰が決めたかわからないルールに乗っけられ続ける

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朝っぱらから、【赤】の多言語での解釈をずっと調べていた。

赤の意味変容はとてつもなく多用だ。赤ちゃんは肌が赤く、この赤が生命の躍動と結びつき、日の丸の赤、生死における生—おめでたさと結びつく。

ただ、赤の他人といえば、赤い色の他人ではなく、サンスクリット語の【水】(閼伽棚・あかだな・にあるように、・AKAは、水)と関係し、水のように冷えきって冷たい他人となる。モスクワの赤の広場と言っても広場が別に赤いわけではなく、赤は美しいと繋がる。

ここまでは言語学専攻の人なら授業で習う定番のお話。

問題は次だ。

中国語では、アメリカを美しい国と書く。日本語ではなんでか分からないが、【米の国】で、米国だ。なんで米なんだろう??と調べまくると、謎が解けた。

実は、アメリカを亜米利加と転写して、最初の亜が抜けて、米利加となり、この最初の文字の【米】を取っただけというのだ。

AMERICAと発音する時に、アMEリカという風に、第二音節にアクセントが置かれ、強い部分のMEだけが際立った。このMEの部分が米。メリケン波止場も、アメリカン波止場ではないのは知っていたが、米国の米の語源にまで拡張はしないでいた。

ここで再確認したことは…

文字は本気で恐ろしい。ということだ。

【米国】を文字で見た瞬間に、【米】の国なんじゃないのか?と思わせてしまう怖さがある。

音が先で文字が後から乗っかってきたルールを忘れて、誰かが勝手につけた当て字に概念を作られて、世の中のコンセプトができちゃうことがある。

既成概念って怖い。ああ、恐ろしい。言葉で書かれちゃうと、多数決で勝って、大多数に支持されて生き残っている雰囲気を醸し出す。でも、文字の意味なんて、こんなにもデタラメなことがある。

亜米利加の米の部分が、米とは全く無関係…

これを知るまでの過程で、おまけで知れたことはたくさんある。このおまけがたまらなく嬉しい。この【おまけ欲しさ】に調べ続けているのかも知れない。

そのおまけとは…

英語では後ろから第3音節にアクセントが置かれる傾向が強い。

(例:Originは O-ri-ginでOにアクセントがある。でもオリジナルという派生形はo-RI-gi-nalとなって、-RI-にアクセントがある。それは、O-ri-ginも、o-RI-gi-nalも、後ろから数えれば3番目の母音だからだ。A-me-ri-kaのMEにアクセントがあって際立つのも、MEが後ろから三番目の母音だから。)

米は音の転写であって、米の意味と関係ない。

意味がないのに、目で見えるものに、意味があるように感じたくなる。

意味を感じて、解釈が曲がって、コンセプトが定着し、我々は無批判のまま、それが当たり前だと思ってしまう。

言葉を疑おう。それが常識を異常にする体験の始まりだ。

こんな問い詰めなんか、自分でできる。でも、こんな話題で喜んでくれる人がいれば、もっと楽しい。喜びを巻き込めば、世界は変わる。

タダでこんなにも自分の知っている言葉を追求できる。あるものから出発すればいい。

言語学と言えば難しく聞こえるけど、この言葉という無形財産を粗末にしてるのはもったいない。

知っている言葉を掘り下げるだけで、ものの見え方が圧倒的に変わる。

あと4日したら、僕はカナダの教室に戻る。

今度はカナダの学生に自分たちの使う言葉にどれだけ意味があるかを伝えに行ってくる。

 

 






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Dr.Tatsuhide Mizoe

溝江達英

言語をこよなく愛し、学んだ外国語は20ヶ国語以上にも上る国際言語学者。カナダ・ラヴァル大学にて、講義をフランス語で行い、受け持つ授業は北米最多クラスの年間270コマ超の、超人気の言語学教官として活躍中。

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